若いからこそ大切と感じた六甲クラブ大先輩とのつながり
私と当クラブとの関わりは、33年前の昭和55年に経営学部を卒業後、日興證券に入社し本店営業部に配属されたことから始まります。
本店営業部での4年半の勤務のなかで、まったく世間知らずの私が、すぐ近くにある東京凌霜クラブに出入りさせていただくようになり、大先輩方からとても親切にしていただいたことは、郷里を離れた自分にとってとても温かみを感じる場所となりました。日本の発展のため各界で頑張ってこられた大先輩の情熱的なお話を聞かせていただき、火曜会等で熱心に意見交換されている様子をみながら、自分なりに考えねばならない機会をいただいたことは、その後の私の人生においてかけがえのない社会勉強の場となりました。また、ビジネス上でも大先輩といろんな交流を持たせていただけましたことは自身の大きなきっかけとなりました。
その後、日興證券で19年間勤務後、1999年の金融不況時に、早期退職制度にて42才の時、まったく違う業界の現職(テンプスタッフキャリアコンサルティング㈱)に就き早や14年目を迎え、現在に至っております。現職は、皆様にとってあまり馴染みのない再就職支援(アウトプレースメント)を主業とする会社であり、わかりやすく言うと、希望退職を実施する企業と契約し、退職する社員の再就職の支援を行っている会社で、希望退職を実施せざるを得ない企業経営者の心の痛みと、応募・退職を決断せざるを得ない社員の心の痛みを同時に解決するというビジネスモデルです。
私は、この14年間、早い話が、"リストラしたい企業と契約を結ぶ"のがタスクで、これまでずっと企業の人事担当者とのつながりを広げてきましたが、こんななかでも誠に有り難いことに神戸大学東京六甲クラブでの人脈が活きているのは驚きです!実は10年前の2002年、広島に本社のある某大手自動車会社が、1,800名の希望退職を発表した時のこと、当社としてまったくコンタクトがなく、なんとかきっかけを持ちたいと思っていた矢先に、同社の人事担当者より横浜に勤務していた私に電話があり、広島まで来て再就職支援サービスにつき説明してもらいたいとのことで当時、本当に驚きました。きっかけは、某大手都銀より同社常務に就任された神戸大学の大先輩だったのです。先輩は、私が前職でアムステルダム現法に駐在していた頃、ベルギーブラッセル支店の代表で、車で2時間半程度で行けることから頻繁にお邪魔し親しくさせていただきました。先輩は、帰国後、本店総支配人を経て広島にある自動車会社の常務に就任され、その際にお電話でお話ししたこともありました。縁とは奇なるもので、幸運にも当社は、ご縁ありその自動車会社と単独契約させていただき大ビジネスを頂戴しました。当社は、ジャスダック市場に旧社名である日本ドレーク・ビーム・モリン㈱でその頃、上場していましたが、そんなこんなで2,000円の株価がなんとピーク44,000円まで短期間で上昇しましたが、当時、業務があまりにも忙しかったため、結局、私は株を買えず恩恵は受けらませんでした、残念!実は、私が、当社に転職した1999年当時から、ソニーの17,000人削減等が新聞報道され、ちょうど日本全体での大リストラ時代のスタートであり、これまでの14年間、前職とはまた違った大変、刺激的な場面の繰り返しです。
企業の人事担当者からはよく言われます、「リストラなんて経験ないのでどうすればいいのかよくかわからず、できれば避けて通りたいが、お宅と付き合うことを決めたからには、実施する人事施策は、法的問題や労組・社員とのトラブルなく経営目標に沿ってスムーズに進め、しかも辞めてゆく社員の次の会社人生をきちっと決めてほしい」と。そんな人事担当者のお気持ちを受け、大切にしたいことの一つに"無念ながらも辞めてゆく社員の今後のやり甲斐を見出していただけるようどうご支援できるか"、ということです。2000年当時は、定年前に会社を辞めることなどまったく考えたことがない団塊の世代中心に大量の退職者が出ましたが、最近では、長期化する不景気、グローバル競争の激化、円高等により製造業を中心とする大企業が会社存続をかけて全社員対象の大リストラを実施しており、国内工場の閉鎖・売却、海外工場への製造移転等を進め、日本の空洞化がさらに進んでおり、今後の日本の成長産業を見通すことさえも困難な状況になっております。
既にご存知のように、世界では、現在の総人口約68億人から38年後の2050年には、93億人(約37%増)にどんどん膨張すると予想されている一方、日本では、現在の総人口数約1億2,700万人から、2050年には、9、200万人程度まで減少する(約28%減)ことが予想されており、就業者数も、現在の約6,400万人から2050年には、約4,400万人(約32%減)になるとの予想も出ております。特に直近では、これまでの日本の経済発展を支えてこられた団塊の世代の方々約700万人が年金生活者になりつつあります。
このようななか、日本の今後の経済成長を支える労働者は、何にやり甲斐を感じイキイキと働いてゆけばいいのでしょうか。そんな迷える労働者をサポートする担い手の一つがキャリアコンサルティングだと思います。実際のカウンセリング現場では、相談相手との信頼関係をベースに、当社のコンサルタントが不満、悩み、興味、価値観等を傾聴することにより、相談相手の自己理解を促進し抱える問題を共有化することにより、その問題を自力で解決してゆくプロセスをサポートしてゆきます。ご支援する方々の多くの悩みは、①リストラによる心の傷が癒えない、②自身のスキルや経験に自信が持てない、③転職経験なく自分の強みやPRポイントがわかっていない、④違う業界で働くのに抵抗がある、等です。心の傷が癒えず落ち込んだ気持ちをずっと引きずり自信を失くしてゆくことが本当に多いですが、キャリアコンサルタントがご不満をじっと聴くことにより、相談者自身が自分の声に向き合えるようになり、徐々に前向きな気持ちを取り戻していただけるケースが多いと思います。そして、カウンセリングを進めるなかで、相談者のこれまでの経験を棚卸し、誰もが持つ何処へ行っても発揮できるポータブルなスキルに気づいていただき、幅広い職業情報を提供することにより、さらに自信を持っていただけるようサポートしてゆきます。キャリアコンサルタントは、そんな相談者を支えるため、適切な心理療法、心理テストを活用しながらハンドメードに進めてゆくことになります。
誰もがそれぞれの強みを知り、再度、やる気を取り戻して頑張れるような社会になってゆけば日本も捨てたもんじゃない、明るい方向性が見えてくると思うのです。そんなことを考えながら日々暮らしております。
これまでの方々が書いておられるような趣味とかあまりないので、今、私が携わっている仕事のことを思いつくままに書きましたが、次は、S51J 弁護士の安田博延さんにリレーのバトンをつなぎたいと思います。
以上(2012.11.13) |